前回の記事は、ウィーンでの宿泊先に到着するまでのお話でした。
今回は宿泊先の決め方と、滞在1日目に体験した宿泊先の管理人とのやり取りについて書きたいと思います。
宿泊先の選び方
私がオーストリアに滞在するために取得した「ワーキングホリデービザ」は、色んな書類を日本のオーストリア大使館に提出して取得する必要があります。
(今回は軽く触れるだけにしますが、その内、ビザの申請方法について詳しく書きたいと思います。)
大使館に提出する書類の1つに、オーストリア到着後の「宿泊予約証明」というものがあります。
現地で路頭に迷わないよう、事前にどこでどのくらいの期間泊まるのかを証明して、大使館を安心させるみたいな書類だと思います。
私は最初にウィーンで過ごして、そのあと別の街に住むと決めていたので、1ヶ月間のウィーンでの宿泊予約証明を用意しました。
とりあえず1ヶ月分の証明にしましたが、実際のところ、最低どのくらいの期間の証明が必要なのかわかりません。
大使館に問い合わせたところ、
- 基本的にはビザの有効期間すべてをカバーした宿泊証明が必要
- 全期間の宿泊先が決まっていない場合は、一定期間の宿泊予約証明でも可
- ただし、2の場合はその後の見通しについてドイツ語または英語で説明する必要がある
という回答で、具体的なボーダーラインみたいなものは不明です。
私は2に該当したので、その後の見通しについて「最初の1ヶ月はウィーンで過ごして、その後は別の街で住居を探します。」と説明しました。
ちなみにこの説明については、紙に書いて提出でも大丈夫です。紙媒体でない場合は、口頭での説明になるそうです。
宿泊先の候補として、
・ホテル
・ホームステイ
・民泊
の3つが主に挙がると思います。あとは知人等のツテがある場合は、その人の家とか。
オーストリアに知人も縁もゆかりもなく、かつ倹約精神が染み付いた私は、一番安く済むであろう「民泊」一択でした。
民泊といえばAirbnbという浅い知識に従って、そこで宿泊先を探すことにしました。
これまで1度もAirbnbを利用したことがなかったので、パソコンの画面に映った指示に従って、個人情報やらなんやらを入力して登録を済ませました。
希望する宿泊期間、予算、設備(Wifi完備とか)でフィルターをかけて、マップ上に表示される良い感じの候補地をしらみつぶしに見て回りました。
そして、ウィーンの中心地から少し離れた、1泊当たり約3,000円の部屋を借りることにしました。
これが地獄を見る選択となります。
滞在1日目の体験
前回の記事で書いたように、なんやかんやあって、やっと入れたお部屋。
実際の部屋の様子はこんな感じ。
白を基調とした小綺麗な部屋。
キッチン、バスルームは共用で、3つある寝室のうち1つを自室として借りるシステムです。
ちょうど昨日、他の入居者が退居して、私の他に誰もいませんでした。
ここに至るまでにかなり体力を使い、身体的にも精神的にもボロッボロだったので、この時の望みは早く寝ること。ただそれだけでした。
部屋の管理人のJolaからハウスルールの説明を受け、やっとゆっくりできると思った矢先、Jolaから衝撃の発言が。
Jola:「まだ掃除と洗濯が終わってないから、終わらせていくわ。」
どういうこと?なんで終わってないの?これは民泊では普通のことですか?
呆然とJolaの作業を見守ることしかできない私。
さらに、ただ呆然としてることも許してはくれず、めちゃくちゃ話しかけてくる。
どうやらポーランド人らしく、私と同レベルぐらいのドイツ語で、身振り手振りを交えながらめちゃくちゃしゃべる。
昨日まで入居していた若いグループのマナーが悪かったとか、1日中仕事をして医者にも行って、ここでも仕事してもう疲れちゃったとか。
ことあるごとに「Masakra!」って連呼していました。信じられないこととか、悪いことが起きた時に言うポーランド語らしいです。
オーストリアに来て最初に語学的に覚えたことがポーランド語だなんて。一生忘れないだろうな、Masakra。
なおも衝撃的な発言を重ねるJola。
Jola:「洗濯物干すの手伝って。あと、あなたが寝るんだから、ベットのシーツは自分で掛けてね。」
今一度問いたい。これは普通ですか?ベットメイキングは宿泊費用に含まれていないんですか?
海外渡航の醍醐味の1つは、母国で植え付けられた自分の価値観をぶっ壊すこと。
自分にとっての当たり前をぶち壊す体験は大歓迎ですが、今の私にはこの発言と状況はあまりにも刺激が強すぎる。
1秒でも早くJolaに帰ってほしかったので、心を鬼にして彼女を全力サポートすることを決意。
ただ、Jolaはしゃべるときに作業の手が止まります。
ジェスチャーを交えて、全身を使って語りかけてくる。
そのブンブン振り回す手をどうぞ清掃に使ってください。お願いします。
Jolaも自分がおしゃべりなことを自覚しているようで、すまんすまんと言いつつ断続的な清掃が続きました。
結局、Jolaとの素敵な時間は2時間にも及びました。
”素敵な時間”にはもちろん嫌みもふんだんに含めていますが、不思議なもんで、純粋な意味での”素敵”も本当に感じています。
こんな予期しない出来事を経験できたり、下手くそながらにたくさんドイツ語で会話したり。
これはこれで、私が求めていたことでもあります。
Jolaが帰って、精魂尽き果てた私はなんとかシャワーだけ浴びて、自分で整えたベットで泥のように眠りにつきました。
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