【ワーホリ】オーストリアに行く(後編)

オーストリア

前回に引き続き、今回もオーストリア・ウィーンの宿泊地に至るまでのお話です。

オーストリア(ウィーン)到着

フランクフルト中央駅のベンチに腰を掛けて、ウィーン行きの列車を待っていると、紙コップを持ったおばさんに声を掛けられました。

紙コップ:「お金ください。」

「すまん」とだけ伝え、なんとも言えない笑みを浮かべながら、おばさんはどこかへ去っていきました。

ドイツでは駅や商業施設の周りで、路上生活者がお金を恵んでもらっている光景をよく目にします。

今回出会ったおばさんは足で稼ぐ移動タイプでしたが、他にもパン屋とかカフェとかの前で座って待つ省エネタイプの人たちもいます。

こんな出来事もありつつ、ベンチでしばらく待っていると、宿泊先から連絡がありました。

宿泊先:「あなたが18時頃に部屋に着くことはJolaに伝えておきました。そして、これがJolaの電話番号です。」

部屋の案内をしてくれるらしいJolaとかいう人の連絡先を教えてもらったとはいえ、まだ現地のSIMカードを用意していない私には、連絡を取る術がありませんでした。

とりあえず、18時に宿泊先に着くことはJolaに伝わったようなので、会えることを信じてウィーン行きの列車に乗り込みました。

フランクフルトからウィーンまではICEという列車で向かいます。

2等席と1等席があり、今回は7時間の長時間移動だったので、1等席のRuhebereich(おしゃべり等禁止のゆったりエリア)にしました。

予約しておいた自分の座席に行ってみると、小型のおばさんが既に着座。

なんでお前が座ってんだよ、と心の中で多少イラ立ちを感じながら、表向きはそんな強気に出られないビビりなので、

私:「あの~、すみません。そこ僕の座席だと思うんですけど…」

と、持てる限りの低姿勢とスマホの予約画面を見せてアプローチ。

小型:「じゃあ私はどこに座ればいいんだ。」

と捨て台詞を吐いて、違う車両へと移動していきました。

落ち着け自分。ここはゆったりエリア。イライラしちゃダメ。

眼前に広がる草原、鹿みたいなやつの群れ、まばらに建てられた家、決して良いとは言えない天気。

殺気だった気持ち抑えようと、車窓からの景色を眺めたり、YouTubeを観たりして、ウィーン中央駅に到着しました。

持つべきものは友

初めてオーストリアの地を踏んだ感想は、特にありません。

「最後に、この講義を受講した感想等ございましたら、ご記入ください。」に対する書く必要のない感想みたいな感想。

ヨーロッパの大きい駅だぁ、ぐらいの印象を抱きながら、とっとと宿泊先に向かいます。

地下鉄を1度だけ乗り換えて、20分ぐらいで難なく目的地の駅に到着。

駅から歩いて5分くらいのところに宿泊地があります。

こっちの住所は本当にわかりやすい。それぞれの道に名前があって、「道路名 + 番号」が建物の住所になっています。

迷うことなく、約束の18時ぴったりに到着。

デカいスーツケースとデカいリュックを持った、明らかに今日からここでお世話になりますという格好の私。

そんな私に話しかける人がいないということは、まだJolaとかいう人は到着していないっぽい。

そのうち来るだろうと思い、その場でしばらく待機。

10分経過。まぁ、まだ許容範囲。

20分経過。ふぅ、おしっこしたい。

30分経過。もう、色々と我慢できない。

SIMカードもWiFiもないので、あらゆる連絡手段が断たれた状態。

膀胱はパンパン。不安過ぎて狂ってる。

そんな状況で捻りだした解決方法は、通行人にJolaへ連絡してくれと頼むことでした。

パッと見、頼りになりそうな40代ぐらいの先生のような見た目のおじさんに話しかけました。

私:「すみません。今日からここに宿泊する者なんですけど、管理人が約束の時間に来ないので、私の代わりに電話していただけませんか?」

と、現在の窮状と要求を伝えました。

先生:「君、スマホ持ってないの?」

私:「スマホはあるんですけど、まだSIMカードがないんですよ…」

先生:「しょうがないな。電話番号教えて。代わりに連絡してあげるからちょっと待っていなさい。」

と、こんな感じで渋々こちらの要求を受け入れてくれました。

実際の会話は自分の言語能力不足のせいで、もっと長いこと説明してました。

それから待つこと10分程。

結局、Jolaは電話に出ませんでした。

先生:「だめだ、出ない。もう行くわ。幸運を祈る。」

そう言い残して去っていく先生。

ここまでしてくれて本当にありがとう、先生。

知らない外国人に知らない人へ代わりに連絡してくださいなんて突然頼まれて、10分も時間使ってくれるなんて。感謝。

そうは言っても状況は何も変わっていない。相変わらず尿意は増す一方だし、Jolaに対する憎しみは深まる一方。

約束の時間から1時間が経とうとしている。

これ以上自分の膀胱に無理はさせられないと判断し、いったんその場を離れ、トイレを探しました。

幸運にも、すぐ近くにマクドナルドを発見。

カフェラテを注文し、トイレとWiFiを使わせてもらいました。

尿意から解放され、カフェラテで慰め程度に落ち着きを取り戻し、Jolaと連絡を取る手段を模索。

そんな時、Michael(ミヒャエル)から「もうウィーンに着いたの?」という連絡が来ていることに気づきました。

Michaelは前回の投稿でも軽く説明しましたが、言語学習アプリで知り合った、スペイン語を話せるオーストリア人の友達です。スペイン語で連絡してくる宿泊先とのやり取りを、ずっと手伝ってもらっていました。

ウィーンには着いたけど、まだJolaに会えていないことを伝えると、

ミヒャ:「俺が電話してあげようか?」

本当に神様。

もっと早く俺に頼ってくれよ、とすら言ってくれました。

どれだけの徳をこれまで積んでいらっしゃったんですか?それとも、今まさに徳を積むキャンペーン中でいらっしゃる?

そして数分後、

Michaelへは後でゆっくり感謝を伝えることにして、即座に宿泊先に引き返します。

宿泊先の玄関に戻ると、真っピンクのダウンジャケットを羽織った小型のおばさんが立っていました。

Jolaでした。

Jola:「すまん。今日一日中働いてて、医者にも行って、こんな時間になっちまったわ。」

知らん。あなたが一日中働いていたことも、医者に行っていたことも。そんなことはどうでもいい。

むしろ遅れてきたこと以上に腹が立つのは、その真っピンクのダウンだ。

今すぐ脱げ。温まるな、ピンクで。遅れてきた奴がピンクを羽織るな。

そう言ってやりたい気持ちと反するように、口から出てきた言葉は、

私:「問題ないです。部屋を案内してください。」

悔しい。悔しいよ。もっとドイツ語が堪能だったら、嫌みの一つでも言ってやりたかった。

とりあえず、部屋に入ることはできて一安心。

Michaelには改めて感謝を伝えました。

もしMichaelに電話してもらってなかったら、Jolaの到着に気づかないまま、マックに居座り続けるところでした。事態はもっとゴタゴタしていたかもしれません。

マジで持つべきものは友。

以上が、出発から部屋に入るまでのお話です。

言うまでもありませんが、不要な不安や心配を取り除くために、準備は日本にいる間にできる限りするべきです。

結果的に準備をいくらしたとしても、1時間待たされるトラブルは生じたとは思いますが、それ以外の無駄な労力は省けたと思います。

あと、いざという時に助けてくれる友人関係を築いておきましょう。

次回は、部屋に入った後もJolaに精神を削られていく様子について書きたいと思います。

それでは。

コメント

  1. 青い梅の砂糖 より:

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